公立小学校の教員採用試験で体育の実技を廃止する自治体が相次ぎ、文部科学省がまとめた2022年度の状況では実施する自治体が3年前から7割以上減っていた。新任教員の採用倍率が過去最低を更新し続けるなか、実技が受験者の負担となっており、敬遠される原因の一つと自治体がみているためだ。
小学教員採用の3次試験で受験者に水泳の実技を課していた大阪府教育委員会は、今年度から廃止を決めた。大学生らへの採用試験の説明会で「実技は試験を受けるか考えるときのハードルになっている」と参加者から意見が出されたことを踏まえたという。
受験者の対象年齢を「60歳未満」まで引き上げた福島県では、試験がある夏場に「中高年には体力的な負担が大きすぎる」として、20メートルのシャトルランの実技を20年度から中止した。
各自治体の小学教員採用試験では、筆記試験や面接のほか、音楽や体育、外国語の実技が受験者に課せられてきた。ただ、試験科目はそれぞれの裁量で選択可能。全国の23年度採用倍率が4年連続で過去最低を更新するなか、自治体は体育の実技が新型コロナウイルスの感染リスクになることに加え、受験者の負担にもなっているとみて、相次ぎ取りやめている。
公立学校の教員採用試験を行う47都道府県と20政令指定市、大阪府豊能地区の22年度の実施方法について文部科学省がまとめた資料によると、小学校で体育実技を実施したのは12。19年度から40減った。(前田伸也)